中小企業金融円滑化法案いわゆる返済猶予法案が先月30日に閣議決定され、国会に提出された。

 金融モラトリアムなどという衝撃的な名称ばかりが先行し、ずいぶんとこの1ヵ月間、株式市場特に金融関連銘柄の乱高下を誘発してきました。

 この法案の実効性には疑問が残るところですが、結局のところ程ほどに現実的なところに落ち着いた感があります。

 2011年3月までの時限措置で、借り手側からの要請により、出来るだけ条件変更に応じる義務を課すとのことで、返済猶予だけでなく、金利の減免、返済期限延長、債権放棄など幅広い条件変更を促し、条件変更に応じた金額や件数を定期的に開示させる。また、金融機関が融資条件を変更しやすくするために、公的融資や保証を受けていない中小企業の既存の借り入れの一部に保証を付けるしくみを導入し、企業が倒産した場合には信用保証協会が借入額の4割を負担するということです。

 新しい保証制度の利用は今まで保証を使っていない企業に限られ、融資条件の変更を希望する企業の多くは既に保証を使用しているため、本当にこの法案の適用を受けたい企業が保証を使用しないで金融機関が自らリスクを取れるか疑問のあるところです。
 それでも、実行した件数、金額という報告義務があるため、ある程度の実績を出さざるを得ず、優良企業への条件変更といった水増しや、もともと回収出来そうも無い企業の条件変更に応じ、保証協会による4割の保証を獲得するというようなあるまじき行為が行われるような気がしてなりません。実質的な効果よりも形ばかりの実績しか残らないような気がします。

 保証と並んで、金融庁は不良債権の基準も緩和するようで、不良債権処理の指針となる金融検査マニュアルを改訂して、貸付条件の変更をした場合には不良債権とは扱わなくて済む範囲を広げるということで、時限措置が経過したときに、終わってみたら回収不能ということにもなりかねません。

 現在のように自己資本規制といった国際的な様々なルールや株主への説明責任が重視される時代に、金融機関に昔のように銀行家が事業者の人となりなどに意気を感じて、自らリスクをとるといったことを期待しても殆ど不可能と思っています。

 時を同じくして米国でもサブプライムローンのあと問題になりそうな、(もう顕在化していますが)商業用不動産ローンに関する指針を金融規制当局が公表しました。こちらも金融機関が借り手の返済能力などを再評価し、資産分類が悪化しても批判の対象にならないと説明、返済期間変更などでは、担保価値が下落したことだけを理由に資産分類が悪化することにはならないとも指摘したことで、仮に資産価値が融資総額を下回っても銀行がどう融資を健全と位置づけることを認めたとウォールストリートジャーナルは指摘しているようです。

 米国でも事情は同じなのでしょうか。