自分で買った本ではないのだが、数年前から本棚に埃をかぶって眠っていた 村上春樹の「ノルウェイの森」を読んだ。
主人公が愛する人を喪失し、再生に向かって生きていくさまは「世界の中心で愛を叫ぶ」と似たようなものだが、セカチューほど陳腐な感じを受けず、一気に読んでしまった。

自殺や病死など通常では有り得ないほどの死、愛する人を失った喪失感が主人公を「死は生の対極にあるのではなく、我々の生のうちに潜んでいるのだ」と言わしめる。

「どんなものでもあれ、愛するものを失った喪失感を癒すことはできない」

記憶は薄れていく。あれほどに味わった喪失感すら。幸いにしてこれほどの喪失感を味わったことはないが、主人公の言葉はまさしく真理であり、真理であるがそれを癒すのは記憶が薄れる長い時間だとも思う。